ほっこり話 PR

100万回生きたねこ 大人になって意味が分かり深く感銘を受けた絵本、深キョン主演でミュージカル化も

勉強している猫とひよこ(イラストAC/作者:なっちゃん さん)
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

『100万回生きたねこ』(佐野洋子 作・絵)が出版されたのは1977年のことですが、今も「絵本の名作」として世代を超えて愛されています。私は子どもが読んでいたことから初めて知ったのが20年ほど前のことでしょうか。その時は「いい話だな」という感想を持った程度でしたが、先日改めて読む機会がありました。

数ヶ月前になるのでどのラジオ番組かよく覚えていませんが、リスナーの女性から届いたメッセージに『100万回生きたねこ』のことが書かれていたのです。

その女性は病院の待合室で『100万回生きたねこ』を見かけて、それとなく手に取って読み進めていたところみるみる絵本の世界に入り込み、ねこに共感して涙がボロボロ流れたそうです。

それに気づいた看護師さんも『100万回生きたねこ』をよく知っているので、涙で目を晴らしたその女性を気遣って「大丈夫ですか」とサポートしながら診察室に案内したといいます。

ラジオでふと耳にしたエピソードから、私も久しぶりに読んでみようかと我が家の本棚にあった『100万回生きたねこ』に手を伸ばしたのですが、感動する話なのだと分かっていても読むうちに目の奥が熱くなりました。

若い頃は周りに迷惑をかけながら常識を学んで成長し、愛すべき人と出会って結婚。子どもに恵まれて幸せな家庭を持ちながら、家族とぶつかることもありました。子どもが成長して手を離れ、人生の半分以上を生きた今。『100万回生きたねこ』の深い意味が分かる気がします。

歌人の枡野浩一さんは著書『日本ゴロン』(毎日新聞社)で『100万回生きたねこ』について「たいていの読者は物語の終わりを知ったとき『あー、よかった。めでたし、めでたし』という気分になっているはずで、そこがすごいのだ。主人公が死んでしまうのに『あー、よかった』と心から思える不思議・・・」と評しました。

完璧な書評と言われる枡野浩一さんの言葉に付け加えるのもおこがましいですが、私は「あー、よかった。めでたし、めでたし」という気分ではなかったですね。それこそ上手く言葉に表せませんが、もっと切ない、人生の無常というか真の幸せとは楽しくて苦労がないことではない、もっと奥深いものなのかなという思いでいっぱいでした。

『100万回生きたねこ』は映像化や舞台化されていた、深田恭子の主演舞台も

絵本だけかと思っていた『100万回生きたねこ』ですが、NHK Eテレ『てれび絵本』の前身番組、NHK教育テレビ時代の『母と子のテレビ絵本』で映像化されて初回は1991年5月3日に放送されました。人気だったようでリピート放映もされているようです。また1995年には女優・大竹しのぶ朗読によるCDも発売されています。

1989年にはOSK日本歌劇団によってミュージカルが上演され、1996年の『DORA 100万回生きたねこ』では沢田研二が主演を務め、2013年上演の『100万回生きたねこ』では森山未來と満島ひかりが主演、2015年の上演では深田恭子と日本の俳優・成河(ソンハ)が主演しており、どんなミュージカルなのか見てみたいですね。

また作者である佐野洋子さんの晩年を記録した映画『ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ』(小谷忠典監督)が2012年12月8日に公開されました。佐野洋子さんも「「顔を映さない」との条件で出演しているそうです。